バイオセラミックセメントとは(MTAセメント)
バイオセラミックセメント(MTAセメント)の出現により
今までなら抜歯していた歯でも、保存できるようになりました。
バイオセラミックセメントとMTAセメントの違い
MTAセメントは、1998年にアメリカで発売開始した製品名称で、それを改変した商品群をバイオセラミックセメントと呼びます。
根管治療におけるバイオセラミックセメント
バイオセラミックセメント(MTAセメント)は、根管治療の際、根管内をお掃除してそこに詰める根管充填材の一つです。2020年8月現在保険適用はありません。保険診療では根管充填剤にガッタパーチャを使用しますが、自費診療ではバイオセラミックセメント(MTAセメント)を使用する場合が多いです。
バイオセラミックセメント(MTAセメント)を使用する場合は、ガッタパーチャとバイオセラミックを混合して使用したり、バイオセラミックセメント単体で使用したりします。
バイオセラミックセメント(MTAセメント)を使用する治療
根管の感染が進み、長期間放置して歯根に穴が開いたり、歯根の先端が溶けたりしてしまった場合、従来の根管充填材では治すことが出来ず、抜歯を余儀なくされてきました。歯の周囲の骨が大きく吸収(溶けてなくなること)してしまうため、咬む力に耐えきれなくなるからです。
しかしバイオセラミックセメント(MTAセメント)でその穴を封鎖すると、セメントに含まれるカルシウムが生体内に溶け込んで骨を再生させて、抜歯を回避できます。
※骨の再生度合いには個人差があります。
バイオセラミックセメント(MTAセメント)の特徴
高い殺菌作用
バイオセラミックセメント(MTAセメント)は、強アルカリ(pH12)による殺菌作用があります。ガッタパーチャには殺菌作用はありません。
硬組織誘導能(骨や歯の再生)
バイオセラミックセメント(MTAセメント)は、生体親和性が高く、組織を刺激することによる硬組織形成作用があります。そのため、吸収されてしまった歯や骨を再生することができます。ガッタパーチャにこのような効能はありません。
※再生度合いには個人差があります。
高い封鎖性
バイオセラミックセメント(MTAセメント)はそれ自体に接着性があり、固まる際に約1%膨張するため、封鎖性に優れています。
一方、ガッタパーチャは接着性がないため、シーラー(接着剤)と合わせて用いる必要があります。
バイオセラミックセメント(MTAセメント)に関するよくある質問
バイオセラミックセメント(MTAセメント)の成分は?
ポルトランドセメント、つまり土木建築用セメントを改変した水硬性セメントです。セメントに含まれるカルシウムが生体内に溶け込んで骨を再生させます。
バイオセラミックセメント(MTAセメント)を充填した歯は再根管治療できる?
他院でバイオセラミックセメント(MTAセメント)を使用して再根管治療が必要になった場合、治療できる場合とできない場合があります。どの程度入っているかにより異なりますが、2020年8月現在、今までの症例はすべて除去して再治療しています。