根管治療専門医の活用法 ~歯科専門医との付き合い方~
初めての診察に訪れた中丸さんが検査の後に話した内容です。「根管治療の保険診療と自費診療は何が違う?」の続きです。
根管治療専門医が行う治療
先生は歯の根の治療しかしないんですよね?
そうですね、当院は根管治療専門医院なので。歯の根の治療が終わったら、かぶせ物の治療は他の歯科にしてもらうことになります。ご希望があれば私たちチーム東京の被せ物の専門医に受診していただくこともできますよ。
先生は、根管治療専門医っていうんですか?他にはどんなことしているんですか?
私たち、根管治療専門医がする治療は次の3つです。
1) 歯髄温存療法
2) 根管治療(抜髄・感染根管治療・再根管治療)
3) 歯内療法外科
先生、すみませんが、私にわかる言葉でお願いします。
もちろん、上から一つずつ説明しますね。「歯髄(しずい)温存療法」というのは、なるべく歯の神経を抜かずに、温存しましょうという治療です。他院の保険診療で歯の神経を抜きましょうと言われた方が温存できるケースもあります。さっきお話ししたバイオセラミックセメントを使うんです。ただし強い痛みが出たら温存はできませんよ。
そんなことも!? 私も神経を抜く前に来たかったですわ。
まぁ、まぁ、今後もし他の歯で神経を抜くとなったら、早めにいらしてくださいね。
そうします。で、次の「根管治療」は私みたいに歯の神経を抜く治療ですよね。
「根管治療」は、歯の神経を抜く抜髄(ばつずい)治療もそうですし、いったん神経を抜いた歯が感染してしまったり、根っこの方に膿ができて骨をとかしてしまったりするのを治す感染根管治療もします。
私の知らん世界も沢山あるんですね。で、次の「歯内(しない)療法外科」では手術でもするですか?
基本的には根管治療をしても治らない場合に行うんですが、簡単に言えば、歯の根っこの膿み歯肉を切開して、病巣を取り出すようなことをします。
え、私もそうなる可能性があるいうことですか?
その可能性は低いと思います。中丸さんは、前回大阪でした神経を抜く治療が初めてなんですよね?
初めてですが、5,6回は同じようなことで通いましたよ。
それでも1回カウントで大丈夫です。さっき言ったように一般的には20%の確率で手術が必要ですが今回はじめて神経を抜く治療で手こずってしまった形ですし、CTを見てもそこまでひどくないので、手術になることはないと思いますよ。
よかったー。こんなに歯が痛むのは初めてだったので、手術になること覚悟してしまいましたわ。
ご安心くださいね。
ちなみに、手術ってここでやるんですか?どんな症状の方がやるんですか?
歯の根の先っぽに膿ができてしまった方がする治療ですね。根管治療で歯の中を無菌化しても膿がなくならなかった場合、外から膿みを出す治療なんです。
一般歯科に通いながら、専門歯科にかかるには?
そうそう、神経の治療をしていた大阪の歯医者ですが、何か連絡したほうがいいんでしょうか。
特に連絡しなくて大丈夫だと思いますよ。
こう言ったらなんですけど、私らみたいに義理人情で生きている人間にとっては、先生を裏切るような気がしてしまうんですけど。
実は、僕も義理人情は大事にするタイプですよ(笑) でも、歯医者の専門歯科に関しては気にすることないですよ。町の歯医者ほど、大学病院や専門歯科に紹介することは、慣れていると思います。
でも先生に紹介されたわけじゃなくて、娘に歯が痛いならここに行けって言われてきたんですよ。
もちろん、それでも大丈夫です。歯医者に専門歯科を紹介される方もいますが、患者さんご自身やそのご家族が専門歯科を調べてかかるケースも増えていますよ。
そうなんですね。
一般歯科は、定期健診からむし歯や歯周病治療、入れ歯の調整まで幅広く治療するのが仕事です。専門歯科は一般歯科と連携して、専門分野の治療が終わったら、一般歯科に戻ってもらうのが通常だと思います。
なるほど。一般歯科は広く浅く、専門歯科は狭く深くっちゅう感じで棲み分けされているんですね。
そうです。それに、こう言ったらなんですが、歯の根の治療は、一般歯科医にとっても、手間も時間もかかるし、保険だと何回もかかってしまう治療なので、よそで完結させてくれるなら助かったという歯医者さんもいましたよ。
そうなんですか!!あともう一つ、、治療内容の引継ぎとかはいらないんですか?
特に何もいりません。先ほどの検査でCTを撮らせていただきましたので、大丈夫です。
通院回数と治療期間
先生、こちらでは保険診療とちがって、根管治療が一発で終わると言ってたじゃないですか。
そうですね。あくまで2012年の開院以来、やり直しになった件数は0件という意味ですが。
前回、保険の治療で何べんも通った苦い思い出があるので、すみませんけど、何回通うとか教えてもらえますか?
もちろんです!治療の流れはこうです。
初めての通院:
初回検査
↓
2回目の通院:
根管治療1回目
<根管の中を清掃してお掃除>
↓
3回目の通院:
根管治療2回目
<根管の中に充填>
↓
4回目の通院:
土台作り、仮歯
5回目以降:
術後の診察(必要に応じて)
※その後、他院でかぶせ物の治療
こういう流れになっています。痛みが続く方がいるので、その場合は引き続き様子をみていきます。
根管治療専門医にかかれば、痛みはなくなるの?
次の治療が待ち遠しいのですが、それまで痛いのはどうすればいいですか?
今日、痛み止めを出しますので、飲んでください。我慢できないくらい痛いようであれば応急的な除痛治療もしますから安心してください。あとは、なるべく安静にして、体に負担がかからない生活を心がけてください。
わかりました。ちなみに、治療したらすぐになくなるんでしょうか?
中丸さんのように急性痛の場合は消えるケースが多いですが、一概には言えません。実際、予後に痛みを訴える患者さんの数を割合にすると、治療1ヵ月後は4割、3ヵ月後は3割、6ヵ月後は0人と徐々に減っていきます。
信頼関係とリラックスできる環境づくり
先生ってお医者さんっぽくないですなぁ。
え、そうですか?!
いい意味ですよ?なんか質問したら怒る方とかいますやん?
たしかに、そういう方がいるとは聞きます。でも治療を受ける時に、患者さんには緊張するよりもリラックスしてもらった方がいい治療ができるので、リラックスしてもらうように心がけています。もちろん、質問や疑問は全てに応えますし、そうやって信頼関係を築くようにしています。ちなみに、治療中、患者さんの中には、本当に寝ちゃう方もいるんですよ。
そうなんですか。治療というとメチャクチャ緊張するなと思ってましたけど、そんなリラックスできるんですね。
私としてはそこまでリラックスしてもらえると、光栄ですね。他にも質問はありますか?
いいえ、聞きたいことは全部聞けたので大丈夫です。
また質問があったら、いつでも言ってくださいね。メールでも大丈夫ですよ。
ありがとうございました。
上記の内容は、初めての診察に訪れた中丸さんが検査の後に話した内容です。前編は「根管治療の保険診療と自費診療は何が違う?」です。
橋爪院長が治療を行っている根管治療専門医院は、橋爪エンドドンティクスデンタルオフィスです。(公式サイト)